←  陽気に誘われて  →

羽蟻が湧き出てきた。

アトリエの裏に放置してあった米松の角材に巣食っていたシロアリが

この陽気に誘われて一斉に羽蟻を空中に送り出した。

毎年この時期の風物詩ではあるのだが、今年は少々遅い感じだ。

幾分寒い日が続いているせいだろう。

無数に発生した羽蟻が太陽目掛けて次々と飛び出していった。

と視るや、何処からともなく、無数のトンボが現れ、羽蟻の編隊に急降下を

かけて行くのである。

「ああ、トンボも来ていたのか」と今年になってはじめて見る「トンボ」たちを、

そして、その空中での妙技をしげしげと見上げていた。

羽蟻は仲間たちの犠牲を意に介せず、ひたすら太陽へ向かってパタパタと

上昇していった。  きっと光の中に恋しい女王蟻がいるのだろう・・・・・。